研究開発

平成11年度研究概要

身体形状特性に対応したシーティングシステムの開発(第1報) 石膏モールド型によるウレタンフォームの形成

著者
堀部 哲、小川俊彦、宮川成門、安藤敏弘
概要
身体の虚弱な高齢者や障がい者の座位姿勢を補助する機能をもつ作業いすや休息いすまたは車いす用の座位保持シートの形成技術に関する研究を行った。本年度はモールドタイプの座位保持シートをポリウレタン原料から発泡形成する化工実験を行い、原料処方、形成条件についてシートの物性への影響等を検討した。実験したウレタンの形成方法では、モールド型の製作が簡易にできるため、従来と比較して製品納期やコストの低減が期待できる。

居住空間及び人間動作に適応した家具デザインの研究(第1報)

著者
宮川成門、堀部 哲
概要
車いす自走の頸髄損傷者における収納動作の特性を捉え、生活の自立を支援する機能をもつ収納家具の開発を行った。開発したプロトタイプモデルの評価として、居住空間を想定した実験室内において車いすユーザーによる動作実験を行った。その結果、収納動作上での体幹コントロールや手指機能障がい等の問題に対して、ユニバーサルデザインとしての有効性があることを確認した。また、収納動作を撮影したビデオデータはユニバーサルデザイン家具の設計支援に役立つ動画データベースとして編集した。

バリアフリー住宅設計支援システムの開発(第1報)

著者
立川英治、田中泰斗、安藤敏弘
概要
VR技術を用いた手動車いす用住宅設計支援システムの開発を目的として、本年度は手動車いすの基礎的運動について考察し、平坦路及び傾斜路を直線的に移動するときの運動方程式を導出した。求めた運動方程式と実際の運動を比較した結果、床材と操作者体重から平坦路走行時における車いすの走行抵抗を求めることが可能になった。また、ハンドリム操作量をもとに車いすの位置と姿勢を求める関係式を導出し実際の運動と比較を行った。その結果、計算結果と測定結果の軌跡はほぼ一致したが、操作方法による差が認められた。さらに、段差高さ及び操作者体重から車いすの段差乗り越えに必要な力を求めることが可能になった。また、基本的なシミュレーションシステムを開発し、仮想空間への住宅モデルデータの導入方法および3次元モデルの移動について検討を行った。さらに、6軸揺動装置の制御について検討を行い、制御入力値にもとづき揺動装置を駆動することが可能になった。

コンピュータ構造解析法による家具強度設計技術に関する研究(第2報)

著者
市橋正太郎、高田秀樹、安藤敏弘
概要
本研究では、機械金属製品設計者向けの汎用構造解析プログラムを用いて、木質部材や接合部での解析をする上での問題点について検討し、椅子の製品試験シミュレートを行う解析モデルの検討を行った。ほぞ接合試験構造について3種類の境界条件について検討した結果、ひずみ測定実験結果の傾向と良く一致する解析モデルが得られた。また椅子製品試験について解析を行い、破壊発生位置について解析で推定することができ、破壊荷重の計算においてもある程度の推定が可能であることが解った。

植物系天然素材による環境配慮型生活材料の開発に関する研究(第1報) 相分離システムにおける天然リグニンのリグニン誘導体への変換、分離挙動

著者
関 範雄、伊藤 国億
概要
木質系植物資源の相分離プロセスにおけるリグニン誘導体への機能変換・分離挙動を解析し、効果的な相分離条件を検討した。濃酸処理おける反応系の粘性変化は開始初期約1分後に最大に達し、その後フェノール誘導体のバリア効果により急激に低下した。木粉粒度、濃酸添加量はこの初期粘性に大きな影響を及ぼした。濃酸処理後の水不溶沈殿物は木粉の粒度が大きくなるにつれ、また濃酸添加量が少なくなるにつれ増加したが、一方リグニン誘導体の収率は低下し、リグニン誘導体の分子量は増大した。木粉と濃酸との接触頻度の向上、均一な相分離反応系の設定により炭水化物、リグニンのより迅速かつ安定した機能変換が達成された。

植物系天然素材による環境配慮型生活材料の開発に関する研究(第2報) リグニン誘導体の酵素活性阻害

著者
伊藤 国億、関 範雄
概要
盛んにリサイクルや未利用資源の有効利用が叫ばれるなか、我々は未利用な木材成分であるリグニンに着目した。相分離反応系によって様々な分子量・異なった官能基を保持した各種リグニン誘導体を誘導し、分離した。水溶性リグノピロガロール酸可溶区分、リグノレゾルシノール酸可溶区分のトリプシン活性阻害を測定した。その結果いずれも阻害活性を示し、IC50はそれぞれ0.02mg/ml、0.03mg/mlであった。この活性阻害は導入フェノール誘導体の構造に関係なく、リグニン誘導体とトリプシンの非選択的部位における吸着により発現した。

住環境におけるVOC等の低減化技術(第1報) ホルムアルデヒド放散の被覆による抑制効果

著者
村田明宏、小川俊彦
概要
室内における内装材や家具等の製品から発生するホルムアルデヒドの低減化を図るため、木質材料5種について、天然系被覆材料6種による低減化効果を検証した。その結果、表面被覆材料に用いた天然物の中で、漆、にかわ、オイルが、ポリウレタン樹脂塗料よりも高い抑制効果を示した。また、にかわを被覆することにより、接着剤の含有率が高いPB、MDFについても低減化を図ることができた。木質材料別では、合板については5種の天然系素材で、PB、MDFについては被覆材料の選択により50%以上の被覆効果が期待できる。

住環境におけるVOC等の低減化技術(第2報) ホルムアルデヒドの吸着測定

著者
小川俊彦、村田明宏
概要
木質材料からのホルムアルデヒド(FA)放散による室内空気汚染を低減化するために、FAを吸着する材料の静的吸着および動的脱離について評価し、吸着特性について検討した。FA吸着が特に優れていたものは、セラミック炭およびパルプスラッジ炭化品にような炭化物であり、無機系ではパルプスラッジ灰化品およびゼオライトが優れていた。その他に木材チップ、コーヒー豆抽出粕、寒天粕、でんぷん等にFA吸着が認められ、これらに含まれる水分が寄与していると考えられた。吸着材に吸着したFAの加熱による脱離では木材チップ、ゼオライトに比べてセラミック炭、パルプスラッジ炭化品のような炭化物がFA脱離が少なく、FAの吸着力が大きいと考えられた。

ハイクォリティ住宅用部材、建材の開発(第1報) 各種建材の調湿性能評価

著者
杉山正典、長谷川良一、三井勝也
概要
近年、住環境における結露の発生防止あるいは過乾燥緩和のために調湿性能に優れる建材が各社より開発されるようになった。しかし、これらの新建材の評価手法は統一されておらず、木材の樹種別・厚さ別吸放湿性能は明らかになっていないのが現状である。そこで、今年度導入した調湿性能システムを用いて各種建材の吸放湿性能を明らかにした。その結果、木質系建材においては単位時間・単位表面積当たりの吸湿量は厚さおよび容積密度に比例して増加することが明らかになった。また、厚さの異なる各種建材において実大寸法での吸放湿量の測定を行い、吸放湿量の測定値について合板の厚さ補正値との比較分析を行った結果、珪藻土セラミックは合板の2.5倍、木材(樹種平均値)は、合板の1.5倍、アロフェロンセラミックは合板の1.1倍、竹・コルク・しっくいパネル等は合板より低い吸放湿量であった。この結果より木材は珪藻土セラミックには劣るもののその他の材料より優れた性能を有していることが解った。

地域材を利用した高信頼性構造用材の開発(第2報) ヒノキ廃材によるゼファーボードの製造

著者
長谷川良一、三井勝也、杉山正典
概要
柱材生産工程から排出される薄板状のヒノキ廃材は、除湿乾燥により含水率が、16%の範囲にあり、前年度調査工場より非常に揃っていた。ボードを構成するラミナの寸法安定化を目的に、薄板ラミナに水蒸気処理を施した。処理時間、温度の増加に伴い平衡含水率が低下し、特に180℃・1時間の処理で2%低下した。また、これら廃材を用い、4プライのゼファーボードを製造した。接着剤にレゾルシノール樹脂を用いたボードのMOEは、使用ラミナから計算される理論値と比較的一致していた。ゼファー、水蒸気によるラミナの強度低下は、接着剤がゼファー間に浸透することで補完されていた。ゼファーボードの木ねじ、接着に関する性能は、市販材料以上の性能があった。ゼファーラミナの特性を利用して、曲げ成型を行った結果、曲率半径の変動が少ない成型物が製造された。

ハイクォリティ住宅用部材、建材の開発(第2報) 産直住宅等における居住環境調査

著者
杉山正典、長谷川良一、三井勝也
概要
県内産直住宅における住環境調査のため、次世代省エネルギー基準に規定された県内地域区分?~?地区において調査家屋を設定し、外気および居間における温湿度測定を行った。地域別居住環境分析の結果、?地区に規定された加子母村における外気温湿度測定結果は、?地区に類似していることがわかり、?地区に区分されている地区においても?地区と同様の寒冷地対策が必要であると判断された。また、古川町の一般住宅および断熱住宅における温湿度環境分析の結果、2月における平均外気温は-1JA;mso-bidi-language:AR-SA'>℃であったのに対して、一般住宅における平均室内温度値は8℃であった。これに比べ断熱住宅においては平均温度23℃であり、非常に暖かい環境が維持されていたことが解った。ただし、断熱住宅における平均相対湿度は30%と非常に低く、居住者の気管支等への負担が懸念されるため対策を講じる必要があると判断された。

木材の熱処理による材質安定化に関する研究(第4報) 処理材から発生する酢酸濃度とその低減

著者
三井勝也、長谷川良一
概要
高圧水蒸気処理材から発生する酢酸濃度およびその低減法について検討した。処理材は低含水率領域においても人間の酢酸に対する嗅覚の閾値である2.8ppmを越える場合があった。また、無処理材においても含水率が高くなると2.8ppmを越える場合があった。周囲温度が高くなると、酢酸濃度は上昇した。処理材と同時にヤシガラ炭を入れたところ、処理材に対する重量比5%のヤシガラ炭で酢酸濃度を50%以下に抑えることが可能であった。

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