研究開発

平成10年度研究概要

バリアフリー木製家具システムの開発(第3報)

著者
堀部 哲、宮川成門
概要
本研究では車いすを利用する人にとって使いやすいバリアフリー機能を有する木製家具の開発を進めている。既にバリアフリー食器棚の開発を行っているが、これが車いす利用者の動作領域により手の届く範囲内でのサイズの設定を行ったものであるのに対し、今回は手の届かない高い部分への収納方法について検討し、手動昇降棚を取り付けたバリアフリー食器棚の開発を行った。また、車いす利用者が一人暮らしをする際、ダイニング・キッチンに置かれる家具の形状や機能により生じるバリアを解消し、より安全で効率的な動作を支援する目的で、収納とテーブルの機能統合によるワゴンテーブルの開発を行った。試作品は実際に車いす利用者の家庭において使用してもらい機能の有効性について確認を行った。

バリアフリー木製家具システムの開発(第4報) シンキングチェアの開発

著者
堀部 哲、宮川成門
概要
バリアフリー木製家具開発として筋力が低下した高齢者や身体に障がいをもつ人が日常生活において休息するのに適した椅子機能について研究を行った。開発した椅子は座面と背もたれの傾斜駆動及び座面のクッション性による座位姿勢での体圧の分散効果を高めるとともに、使用者自身が身体の状態にあわせてその生体負担度を軽減する姿勢を選べることを特色としている。

木製品の創像・設計・製造支援システムに関する研究(第3報)

著者
浅野良直、田中泰斗、安藤敏弘
概要
木製家具製造業の製品開発分野で使用されるCG、CAD、CAM間におけるデータの相互利用を図り、5軸制御NCルータを利用した効率的な製品開発支援システムの検討を行った。
本年度は3次元CGシステムが利用しているポリゴンデータ(面データ)を3次元CAMシステムで直接利用するためのコンバータの開発を行うと共に、5軸制御NCルータを使用する際の問題に対処するフィルタプログラムの開発を行った。このコンバータとフィルタプログラムの開発により異機種間におけるデータの共有化および、5軸制御NCルータによる自由曲面加工が可能となった。また、DTPソフトウェアの線データをCAMで利用するためのコンバータとNCデータに直接変換する変換プログラムを開発した。これにより様々な文字やイラストなどをNCルータで加工することが可能になった。

木材の熱処理による材質安定化に関する研究(第2報) 高圧水蒸気による強度変化・寸法安定性と調色

著者
三井勝也、伊藤国億
概要
数種の木材に高圧水蒸気処理を施し、材質変化について検討した。その結果、曲げ強さの低下から得られた反応速度定数と、明度指数の低下から得られた対数関数の係数の絶対値から、広葉樹の熱劣化は針葉樹に比べ速いと言える。また、ベイマツの試験より、50mmの板厚を持つ板材は160℃・2時間処理を施すことにより、材内部の材色はほぼ均一になる。さらに、処理条件を厳しくするにつれ、平衡含水率は低下し、寸法安定性向上につながる。温度換算則を適用することにより、ある温度での広範囲の挙動を知ることができ、処理条件決定の指針を得ることができる。

木材の熱処理による材質安定に関する研究(第3報) 高圧水蒸気処理による木材の成分変化

著者
伊藤 国億、三井勝也
概要
高圧水蒸気処理を施した木材の成分変化について検討した。処理温度120、140℃では各成分ともほとんど変化がみられないが処理温度160℃以上で成分変化を起こす。なかでもヘミセルロースは処理時間を長くするほど著しく減少する。僅かながら分解されたリグニンとともに、寸法安定性といった材質変化に影響を与える。また、強度にα-セルロースの変化も起因していることが示唆された。

木粉/樹脂複合材料の高機能化に関する研究 化学処理木粉と熱可塑性樹脂の混練

著者
小川俊彦、 関 範雄
概要
モールドウッドの高機能化のために化学処理した木粉とPPの混練物について検討した。各処理木粉とPPを混練したときの混練トルクは熱軟化性を示すアリル化木粉を用いた場合と無処理およびアセチル化木粉を用いた場合とほとんど変わらなかった。それに対しアリル化木粉/PS共重合物を用いた場合では、アリル化木粉/PS共重合物が混練温度で熱流動性を示すため、PP並の低い混練トルクになった。
各木粉/PPフィルムの吸湿率はアセチル化およびアリル化木粉により吸湿が抑えられた。また熱による引張特性は、50%の木粉添加においては20%の添加よりも160℃までの変位量を大きく上回り、添加する木粉の量を増やすほど引張に対する寸法変化が大きいことが明らかになった。

漆の品質計測技術と耐光性向上に関する研究(第3報)

著者
村田明宏、 伊藤国億
概要
漆の品質評価において、酵素が乾燥に大きく寄与しているとされながらも、その複雑な前処理により、酵素活性は測定されていないのが現状である。そこで、アセトン不溶水可溶分を粗酵素液とし、簡易測定の可能性を試みた。その結果、セル内直接混合法により、反応初期からの速度測定ができ、酵素活性が測定できた。しかし、緩衝液の種類により活性値に違いがあり、標準化のためには緩衝液の選定が必要である。また、各産地別漆酵素の至適pHを調べたところ、日本・中国産漆はpH6.6、pH9.5で、ベトナム産漆はpH7.8、ミャンマー産はpH4.4で活性値が極大を示した。一方、温度依存性では、全酵素とも40℃までは温度に比例して活性値は高くなった。酵素活性と乾燥時間の関係では、酵素活性が13μkat以上の場合、数時間で乾燥し、2μkat以下の場合は120時間以上乾燥しなかった。このため、酵素活性の測定によりある程度の乾燥時間を予測することが可能であると判断した。さらに、より簡便な酵素活性の測定法として、蒸留水に直接漆を入れ分離した水溶液を粗酵素液とすることを試みたところ、シリンガアルダジン法による酵素活性測定は可能であり、今後、油性分であるウルシオールとの分離方法の検討が必要である。

循環型社会を目指した木質資源の利用開発調査研究

著者
関 範雄
概要
木質資源の構成成分分離およびその利用法について調査し、最も有効な分離法として、相分離反応系処理を応用した分離法を取り上げた。この手法の最大の特徴は、既存法では資源に約30%含まれる利用不可能なリグニンが、分離と同時に機能化され利用可能な素材へと誘導される点にあった。この相分離反応系処理によって分離されたリグニン誘導体は、高度な構造変性が抑制され、リグニン本来の基本骨格を保持した高フェノール活性素材であった。リグニン誘導体とセルロースアセテートとの複合フィルムは機能性フィルムとして高い紫外線吸収能を示した。

コンピュータ構造解析法による家具強度設計技術に関する研究(第1報)

著者
市橋庄太郎、 安藤 敏弘
概要
木製家具製品の強度評価に構造解析の手法を取り入れ、本年度は汎用構造解析プログラムを用いて木材の材料曲げ試験およびL型ダボ接合部について実験によるひずみ測定を行い、解析精度の検証を行った。その結果、材料曲げ試験ではひずみ解析値が実験値よりやや高い傾向を示したが、木目の配向性についてはひずみ解析値が力学的理論値とよく一致した。また接合部の解析では、実験値に対する解析誤差は約20%程度であったが、接着層の定義のちがいにより実験値と大きく異なる場合があった。

レーザインサイジング処理を利用した局所的強度向上と製品応用化

著者
杉山 正典、長谷川良一
概要
スギ材(30mm小角材、材長24cm)に、レーザ及びドリルにより小孔加工を行った。不飽和ポリエステルをスチレンモノマーで1:1に希釈し、常温・常圧でスギ材を1~5時間浸漬し含浸させた。その後、70℃に加熱し重合させ、樹脂複合材の重合量を測定するとともに強度性能分析を行った。レーザ小孔加工材への浸透量は、についても、ドリル小孔加工材と比較して非常に少なく、辺材の繊維方向へのモノマー浸透長さは数mmであった。この原因として炭化によって小孔内孔の仮導管がふさがれたためと推察された。ドリル小孔加工による不飽和ポリエステル希釈液の材内への含浸は、初期の30分間~1時間における浸透が大きく、その後浸透量の増加は漸次減少した。ドリル小孔加工材における樹脂複合体の曲げ試験結果については、コントロール材と比較して曲げヤング係数は約6割、曲げ強度で約3割上昇した。

木粉/樹脂複合材料の高機能化に関する研究 セラックをバインダーに用いた木粉ボードの特性

著者
小川俊彦、村田明宏
概要
木質系廃棄物の有効利用として、人に優しい天然樹脂であるセラックをバインダーとして用いた木粉ボードの調製を試み、その特性について検討した。
110℃以上の熱圧によりボードを調製することができたが、セラック添加率が45%でも十分な曲げ強度が得られなかったのに対し、剥離強度はセラック添加率5%でMDFの5タイプに相当し、さらにセラック添加率または熱圧温度を増大させることにより30タイプ相当の強度を示した。吸水厚さ膨潤率、吸水率、吸湿厚さ膨潤率はセラック添加量の増大により低下したが、添加率15%でも吸水厚さ膨潤率は20%と高い値であり、MDFの品質基準に達するには添加率が30%以上必要であった。

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